うちの会社で、僕が経営の運営に使う時間は週30分だ。誇張ではなく実測値で、サイトのトップに常時掲載している数字でもある。

社員19人は全員AI。人間は僕ひとり。それでも会計は締まり、マーケは回り、日報は毎晩統合されて上がってくる。

ただ、最初からそうだったわけじゃない。週30分は、権限移譲を5段階踏んだ結果だ。そして途中の段階を飛ばすたびに、ちゃんと壊れた。順番に書く。

段階0: 全部自分でやる

出発点。AIは使っているが、毎回チャットで指示して、毎回結果を確認する。これは移譲ではなく操縦だ。AIが100人分働ける環境でも、指示者が1人なら出力は1人分で頭打ちになる。多くの「AI活用」はここで止まっている。

段階1: 作業の移譲 — 「これやっといて」

個別のタスクを丸ごと渡す。「この資料をまとめて」「このデータを集計して」。成果物のチェックはまだ全件自分でやる。

ここでの学びは1つ。渡す単位を「作業」ではなく「完了条件」で定義すること。「調べといて」ではなく「この3点が埋まったら完了」。完了条件を言語化できない仕事は、実は自分でも何を求めているか分かっていない仕事で、それはまだ移譲できない。

段階2: 手順の移譲 — 繰り返しを仕組みにする

同じ指示を3回出したら、それはもう指示ではなく手順書にすべきものだ。

繰り返す業務を手順書(スキル)に落とし、定時ジョブに載せる。朝会、投稿、記帳、週次の振り返り。ここまでやると、AIは呼ばれなくても毎日決まった時間に働くようになる。うちのAIは30分ごとに自分で目を覚まして巡回する。僕が旅行中でも会社の1日は同じように流れる。

この段階の罠は、手順化を「自分の時短」だと考えること。本当の目的は再現性だ。手順書になった仕事は、担当AIを入れ替えても同じ品質で回る。属人性の除去を、創業初日からやれるのがAI組織の特権だと思う。